夕飯を済ませた後、「ここだけは行っておきたい……」と思っていたコーヒー屋さんに伺えそうだったので"夜コーヒー"しに行くことに。
王田珈琲専門店。
自家焙煎の豆をネルドリップで抽出するコーヒーと、スコッチをいただけるお店です。
Twitterのプロフィールには「珈琲は仕事酒は趣味」と書かれています。
扉の向こうに見える階段に並ぶスコッチの瓶。
夜という雰囲気も相まって二の足を踏んでしまいそうになりますが、ここで意を決して飛び込めるのは旅先ならではだったかもしれません。
店内にぎっしり並ぶ瓶の数に圧倒されますが、当初の予定通りコーヒーを注文します。
ブレンド。
35gで100ml抽出ということでとても濃厚な1杯です。
1杯に20gの豆を使うお店でも多い方だと思いますが、デミタスでもなく35g使うお店には初めて出会いました。
店主さんの発信では「極端な深煎り、普通の深煎り、やや深煎り」の3種類をブレンドされているということで、深煎りを基本さんにしつつ味のバリエーションを出した構成になっているようです。
深煎りであることに加えて、焙煎してからお店で使うまである程度の期間置いていると伺ったので、酸味系の味はほぼない印象。
深煎りすれば当然苦みは出ますが、さらにその奥から滲み出る甘みの要素を重ねて膨らませたような味で、飲んだ瞬間はバンッとパンチがありますが、そのあと甘みが舌の奥から鼻に抜けるように残ります。
ちびっと一口でかなり味があるので、時間をかけて味の変化も含めて堪能させていただきました。
ヒリッとした味わいが凝縮したようになる後半のエキスもまた格別でした。
アイス珈琲。
こちらも深煎りで、冷やしても甘みを感じる1杯です。
「夏季は水出し珈琲」と書かれていて、この時期はどうかと思いましたが、甘みの出方からしてドリップなのかなと思いました。
とはいえ深煎りの水出しってあまり飲んだ経験がないと思うので、正確には分からず。
水出しはゆっくり抽出されるから酸味が立つイメージがあるのですよね。とはいえ水出しで酸味が強いものが多いのは、単に浅煎りを使うお店が多いから、ということもあるのかもしれません。
あとから調べたところ、お店で使うコーヒーは同じブレンド1種だそうなので、「あれとあれが同じ豆なのか」と驚かされました。
アイス珈琲の方が角がとれてまろやかだった印象。
デミタス。
85gで50ml抽出。
注文したら「抽出に30分くらいかかりますが、お時間大丈夫ですか?」という質問が返ってきました。
ブレンドの豆量で驚いていたらそんなのまたまだ序の口だったようで、デミタスは豆売りかな?と思ってしまうような豆の量。
この日、ブレンドと合わせて120g分のコーヒーをいただいたことになります。ヒェッ
舌に当たった瞬間の表情みたいなものは一瞬ブレンドと近いかなとも思ったのですけど、そこから底のない穴のように深い深い味の奥の方に落ちていくように、途方もない深みのある味。
ざらっとした質感の味が強烈に舌に当たりますが、やはり余韻は甘い香り。
今までコーヒーで味わったことのない凄みを感じる、感じさせられる1杯でした。
基本的にコーヒー豆はブレンド1種類ということでしたが、逆に頻繁に通って味わい続けたくなるコーヒーでした。
1回行くことができた喜びと、知ってしまったからこそ悶える苦しみを感じつつ、再訪を誓ってごちそう様でした!