この日は何か揚げ物が食べたくなって、そういえば最近伺えていなかった高円寺の「あげもんや」さんへ。
移転前の築地市場にあった洋食屋さん「豊ちゃん」の厨房で揚げ物を担当されていた方が独立して始めたお店で、2014年オープンなのでもう8年くらい経つのですね。
かつ煮。
「豊ちゃん」ではかつ丼の上のおかずは皿盛り、ご飯は別で出すメニューを「あたまライス」と呼んでいましたが、こちらでは分かりやすくかつ煮という名前になっています。
厚みのあるとんかつに、白身、黄身、三つ葉が鮮やかなコントラスト。
この卵とじ加減が、何でもないように見えて熟練の技で絶妙なポイントに仕上がっているのですよね。
通常のとんかつの切り方をした上で、直角に真ん中に一筋入れる「十文字」と呼ばれる切り方になっています。
「豊ちゃん」の頃はオプションだったように思いますが、こちらではこれがデフォルトでした。
甘めの煮汁に軽い油の香りと肉の旨み、卵黄のコクと三つ葉の香り。
こんなに完成された料理があるか、というほど全てがいい方向に作用している見事出来栄えなのですよね。
毎回この仕上がりなのが本当に熟練の味という感じ。
何より単純にとんかつとして美味しいのがポイントです。
次はストレートにとんかつで勝負する厚切り大カツを食べたくなりました。
アジフライ、ホタテフライ。
市場を思い出す意味で、この辺りも追加します。
そそり立つアジフライのビジュアルは、市場時代のままです。
それほどサイズはないアジですが、ツァクッと弾ける衣、ふかっとして香りの立ち上る身と、ボリューム感を何倍にも感じさせる調理の妙。
衣の立ち加減も抜群です。
ホタテフライ。