この日は少し久しぶりに麻布台のフランス料理のお店「Patous(パトゥ)」さんへ。
「コートドール 」出身のシェフが、神戸で自分のお店を25年続けた後、満を持して東京進出してきたお店です。
半オープンキッチンの厨房でシェフがせっせと準備を進めていらっしゃいました。
ズッキーニのムース トマトジュレ。
「コートドール 」さんのスペシャリテ・赤ピーマンのムースとトマトのジュレをにおわせる1皿です。
乳脂の強いコクと、角度の違うズッキーニの青い旨み、それをまた全然異なる位置にあるトマトの清涼感でつないで、整った三角形を形成しているような組み合わせのよさです。
トマトのジュレ美味しい。
岩手産紫うにと鹿児島・出水産スミイカのタブレ 赤玉ねぎソース。
以前もタブレはいただいたことがありましたが、かなり豪華な前菜となって再会することに。
紫うに、その下にスミイカ、そして彩り鮮やかな野菜。
さっぱりしたタブレと野菜のソースに、風味と旨みの濃厚なうにとイカがギラギラと映えます。
見るからに質のいいうに。
ひんやりしたうにの口当たりが実にいい感じなのですよね。
自家製パン。
竹岡産太刀魚とじゃがいものパイヤッソン ホワイトバルサミコのソース。
パイヤッソンというのはもともと麦わらの玄関マットの意だそうで、それに見立てたじゃがいも料理の名前になっているということのようです。
香ばしいじゃがいもの下に、とろける身、炸裂する旨みの太刀魚。
下に敷かれたソースは、風味高い白バルサミコの甘酸っぱいソースで、揚げ浸しのようなイメージでメイン具材を堪能しました。
岡山産夢白桃とセロリの冷たいスープ。
この日1番楽しみにしていた夏の定番になっているというメニューです。
桃のスープに桃の果肉とセロリのオイル。
クセの強いセロリの香りも、甘い甘い桃の前にあっては清涼感の一要素と化して、余韻を長く引き延ばすような役割を担っています。
ほぼほぼデセールのようですが、セロリの青みがギリギリ料理のライン内に引き留めているような味わい。
全く違和感のない仕上がりで、完結していると思える一方、何か新たな料理の扉を開いたような期待感の高まるスープでした。
フランス・ロゼール産子羊の煮込み 温野菜。
フランス産の子羊を使ったナヴァランダニョーです。
お肉の脂の食感と風味の濃さを存分に引き出すお料理ですね。
ぶりんぶりんの食感が活き活きとして感じられます。
そしてお野菜もどれもその素材に合った火入れがされているのか、ひとつひとつ味や食感の秀逸なところが光っていました。
スパイスは香る程度で、カレーにならないラインを守っている感じ。
ココナツブラマンジェ パッションフルーツジュレ。
以前も近いメニューをいただいていましたが、全く違ったアプローチになっていました。
甘い香りと軽やかでコクのあるブラマンジェに、甘みと酸味がどちらも力強さのあるパッションフルーツが合わせてあります。
パッションフルーツがフレッシュなソースとジュレの2種使いで、それぞれが層を織り成してフルーツ本来の味わいをより深めて表現されていた印象。
ココナツが主役と見せかけて、パッションフルーツの奥行きを見せてくれるような1皿でした。
だいぶ間が空いてしまいましたが、以前の料理からのつながりは感じさせつつ、確かな進化が各所に輝くようなコースでした。
また近いうちに……と思いつつ、ごちそう様でした!