2度目の麻布台「パトゥ」さんへ。
この日は貸切状態だったためのんびりしたランチに。
席に着いてメニューを眺めると、「赤ピーマンのムース トマトジュレ」の文字が!
こちらのシェフが修業経験のある「コートドール」さんのスペシャリテのひとつですから、期待も俄然高まってきます。
水出しの紅茶があるということでしたので、ひと通りラインナップを聞いてダージリンのファーストフラッシュをチョイス。
すっきり上品。
赤ピーマンのムース トマトジュレ。
いきなり大本命の登場です。
ビジュアルが違っているところが逆に興味を引きます。
前回訪問時に「コートドール」さんが好きな旨を伝えていたので、「お好きでしたよね~」と声をかけられました。なんか緊張します。
前回もトマトジュレはいただいたのですけど、「パトゥ」さんのは透き通ったタイプなのですよね。
ここにキューッとやわらかな酸味とほのかな甘み、さらにポップな方面とは反対に大きく振り切った渋い旨みが詰まっています。
ムースは軽めで緩め、瑞々しい仕上がりです。
夏にぴったりな涼しげな1品でした。
重なるところはもちろんありますが、トマトの魅力の方に寄せたアミューズだと感じました。
北海しまえびのタルタル 焼きなす。
ホワイトバルサミコのソースと、おまけで添えてくださったどんちっちアジ。
タルタルはしっかりめにマリネしてあるので、食感はゆるめ。
しかしちゃんとそれぞれの食感のニュアンス、味わいのインパクトは残っています。
ベースになっている焼きなすは、カットするととろりとけ出して、甘み調味料のようなアクセントに。
凍らせたホワイトバルサミコはパウダー状になっていて、口に入ると舌より鼻に広がる香り。
どんちっちアジはおまけのようでしたが、この香ばしさとタルタルの酸味の相性がとてもいいのですよね。
前回も似た前菜があって、わりとシンプルなお料理ではあるのですけど、丁寧な調理が光る1皿なのですよね。
これ大好きです。
コースが始まる頃に焼き始めて、このタイミングで焼きたてで登場する自家製パン。
アッツアツなので気を付けるように注意がありますが、同時にできたてホッカホカで美味しすぎるので食べ過ぎも注意であります。
徳島産甘々娘とうもろこしのスープ。
ポタージュになったものを温め直して提供するだけではなく、都度スープと野菜を合わせてポタージュに仕立てているようです。
さらに今回はシェフが味に納得がいかなかったようで、温め直すどころか「作り直す」という真面目さを見せて「お待たせしました」と謝られながら満を持して提供されました。
サラッとしていますが、濃厚なとうもろこしの香りと強い強い甘み。
クリームでコクを加えてありますが、乳脂に全く負けないとうもろこし。
「甘々娘」に名前負けしない甘い甘いスープでした。
作り直す前のスープも逆に気になりました。
水出しの紅茶2杯目は「エテ」という柑橘の風味が華やかなもの。
オウモンハタのポアレ ういきょうのソース。
ういきょうは葉と茎をそれぞれ使って、葉は緑のソース、茎は白いソースになっています。
なかなかの身厚。
さぞ大きかったであろうことが感じられる見事な切り身と、厚手の皮目をバリバリに焼き上げたポアレです。
ややとろみのある茎のソースと、さわやかにミントっぽい爽快感も感じられる葉のソース。
身から滲む脂でソースを伸ばすようにしながら、いただきました。
豚足・子牛タン・鴨コンフィのパスティラ。
メインは新作だというこちら。
パートフィロで包んだ豚足、子牛タン、鴨コンフィ、ややこってりしたコンソメ、ガルニはクリーム煮にした野菜。
パスティラとコンソメは非常に地味な色なのですけど、クリーム煮にした野菜がとても色鮮やか。
季節なのでアスペルジュソバージュもモリモリ。
この時期結構出されることが多いのですけど、実はナイフとフォークでどうやって食べるのか正解が分かっていなくてお箸が欲しくなるお野菜です。
それだけやわらかい食材ということなのかも。
野菜はそれぞれ優しい食感。
包んだ上にさらに香ばしいパートフィロを飾り付けてあります。
こうして食べると揚げワンタンか春巻きの皮みたいな感じ。
中は細かくカットした豚足、子牛タン、鴨コンフィが詰まっています。
それぞれ味、香りが強いのに加えて、豚足の濃厚なコラーゲンが全体の印象を濃厚に仕立てますが、子牛タン、鴨コンフィの歯ごたえも独特で印象的なアクセントに。
ビールに揚げ物!みたいな意味で、これはこれでとても夏らしさを感じる1皿でした。
デセールはパッションフルーツとココナツのムース。
王道の夏らしさ。
2種のムースの上にパッションフルーツの種を乗せて、仕上げにパッションフルーツのシートを被せてあります。
ベースの生地はアーモンドだったかな。
すべての要素1度に味わえるようにカットしながら食べ進めましたが、1番上のシート込みでいただくと瑞々しさとコクのバランスが見事でした。
新作をいただけたこともあって、お店らしさ、そして新しさを感じることができて、2度目にしてすっかり恋に落ちてしまったような気持ちになったランチでした。
大満足でごちそう様でした!