この日は久しぶりに夜の下北沢「珈琲屋うず」さんへ。
同席したコーヒー好きのお若い男性の話が面白すぎて、初めて閉店時間の22時まで滞在してしまいました。
ブラジル・トミオフクダ。
以前スペシャルティコーヒーの抽出に関して、「ネガティブな味の要素が出ないようにする必要がある。誰もネガティブな味は感じたくないではないか」という趣旨の説明を見たことがあって、胸にモヤモヤが残っていました。
ずいぶん昔の話になりますが、好きなお店の店主さんに「雑味がなくて美味しい」という感想を伝えたときに、「"雑味"なんていう味はないよ。君がそれを嫌な味と感じているというだけ」と指摘されたことがあったのが深く心に刻まれていて、そのときのことが思い出されてしまうのですよね。
かつてはコーヒーの味なんて、苦味寄りか酸味寄りかの二極で捉えられていて、古き良きコーヒーというものがあるとすれば"ネガティブ"な味こそそれなのではないかとも思ったのですよね。
そんな話をし始めたら止まらず、「うず」さんの店主さんに滔々と述べていたら「うちのお客さんは、少しネガティブな味を入れないと『美味しい』と思ってくれないんですよ」とサラッと答えられてしまって、そりゃあ自分が思い悩んでいることなんてプロは何周も前に通った道だよなと思い知らされました。
コーヒーの道を歩いているとときどき前後左右の分からなくなるタイミングがあるのですけど、結局自分が好きなものを飲めばいいんだよなあというところが落とし所になるので、忘れないように肝に銘じておこうと思いました。
この度のモヤモヤも、冷静になれば所詮言葉の綾だよな〜と反省しつつ、色んな味のするコーヒーを楽しみましょうと前を向くことができて、ごちそう様でした!