というわけで新年最初のイルトラムさんへ。
シェフは環境の変化があったそうで、その辺りのお話から。
これを機にお料理に変化…は起きないそうです。

ちょっと嫌な話なんですけど、この日はカウンターの隣の席がノーショー、つまり予約客が連絡もなく現れませんでした。
正直こんなに身近に感じたことはなかったのですが、何とも寂しいものですね。
さて、お料理がスタート。

1品目のスープは、聖護院蕪とお米。
聖護院蕪は、大根寄りの青っぽさ。
お米の素朴な香りもして、おかゆを食べているような感覚になります。

パルミジャーノレジャーノのクロッカンテ。
強い塩気と、酸味にも似た風味は、"おかゆ"に対する梅干しのような立ち位置。
パリパリ割ってスープにふやかすと風味がマイルドになるので、個性が立つ早めに食べるのが吉かも。

自家製のフォカッチャをいただきます。
これ、横に食べ進めるタイプの人と、縦に食べ進めるタイプの人がいますが、僕は横派。
上の焼き目と、下の焼き目と、質感の違うのを温かいうちから両方食べたいのですよね。

ブッラータ。
ソースは寒締め人参、上にヘーゼルナッツ、ディル。

毎月ソースによってブッラータが甘みになったり、酸味になったり、塩気になったり役割が変わります。
今月は塩気。
今月は塩気。
ヘーゼルナッツやディルも個性のある香りが立っていますし、個人的にはこの前菜に使われるオリーブオイルの味が好きなのですよね。

スペシャリテのチコリの1時間ロースト。
お皿への"落書き"が毎月の恒例になっていましたが、このところ忙しくて描けないパターンが続いていますが、代わりに毎月言い訳するのが恒例になったのでそれはそれで楽しませていただいています。

今月のチコリは水分多めで、ぷっくりよく膨らんだ仕上がりでした。
先の方は焼きが強くて、焦げっぽい香りも。
強い香りにはゴルゴンゾーラがよく合います。

続いて魚料理は鮮魚のヴァポーレ、フィルム包み蒸し焼きですね。
添えられているのは、トッピング&味変用のハーブ。

新しいこの器はココナッツの殻からできているのだとか。
見た目で想像したよりも軽くて、独特な質感でした。

真鯛、大黒しめじ、ニョッキ、ソースはそら豆。
お豆の旨みが印象に残ります。

ハーブはうっかりゴソッとかけすぎました。
ただ、底に残ったソースを絡めて食べるのに多めのハーブが重宝するのですよね。
きれいさっぱりいただきます。

ここからパスタ。
まずはショートパスタです。

ゴボウのソースに、ゴボウのフリット。
ラヴィオリの中には地鶏と、くるみ。

ゴボウの甘みがほっこりします。
ラヴィオリは鶏とくるみでコリコリ。

ロングパスタはタリオリーニ。
カリフラワーのソースにボッタルガ(カラスミ)、シブレット(チャイブ)。
「軽く混ぜてお召し上がりください」
というのはワンオペの工夫なのだそう。
和える工程を省く分、1人前のソースの量は通常のお店より多くなっているそうです。
ありがたや。

カリフラワーとボッタルガはしっかりめに混ぜ合わせるのがポイント。
カラスミクリーミソースのようにしていただきます。

ワンオペのコツでいうと、シェフは営業中ほぼ刃物を使われないのですよね。
その分、仕込みに時間と手間をかけていらっしゃるということでもあるのですけどね。
これまたありがたや。
そんな話の流れの中で、「以前は盛り付けにセルクルも使っていたけど、効率を考えてやめた」とおっしゃっていたのですけど、

この日わざわざ復活させてくださいました。
レンズ豆の煮込みで"地球のヘソ"。
クミンの香りだったかな。

メインは茨城産 美明豚のロースト。
添えてある塩みたいなのは何かと思えば、塩でした。
なんと今回は塩をせずにローストしてあるとのこと。

身質が締まっておらず、とてもしっとりしてジューシー。
お好みで塩を、とのことでしたが、何も付けないでもまったく物足りないことはありませんでした。

前回に続いて、何となく食後はエスプレッソを追加。
確かこのシリーズのカップが4つくらいあったはずなので、制覇するまでいただこうという気になってきています。

今年も1年よろしくお願いいたします。