この日はかねてからおすすめされていた住吉のコーヒー屋さん「珈琲かたの」さんへ。
ご主人は海保の航海士という異色の経歴の持ち主で、当時から始めたコーヒー豆の焙煎歴は25年にもなるのだとか。
話せば話すほどコーヒーへのこだわりとかコーヒー愛が溢れ出してくる方でした。
コーヒーは聞いたことのない豆だったエチオピアのガルテンビという豆。
日本人がエチオピアの農家と作り上げた豆なのだそう。
せっかくなので自家製のスフレチーズケーキも合わせていただきます。
スフレチーズケーキ。
言葉の節々に体育会系のにおいを漂わせつつ焙煎の話をするときなんか「いかにも」という感じなのですけど、ケーキの話になると「こんななりでケーキなんか作ってます」と恥ずかしそうに笑われているのが可笑しかったです。
スフレ系のわりにはずっしりとした質感に仕上がっています。
表面はナパージュというよりジャムなのかな、という感じ。
落ち着いた味のスフレ生地にベースは素朴で香ばしい味わい、ちょっぴり酸味を加えるジャム。
どれも突出した要素はないものの、合わせるコーヒーの味のバランスによって立ち上がるところが変わってくるケーキでした。
そしてコーヒー。
深煎りのコーヒーは「味が濃い」とか「苦い」とかいったイメージを持たれがちですが、ある一線を超えると苦味が飛んで甘みや旨みが強く出るのですよね。
こちらはまさにそんな感じで、比較的マイルドな味わいの中から木目のような心地よい香りと、ワインのような気品のある風味を楽しめる1杯でした。
飲み始めから飲み終わりまで、一貫して飲みやすいコーヒーでした。
2杯目は扇橋ブレンド。
せっかくなのでブレンドもいただいておきます。
コーヒー愛を感じるお店は、ブレンドを飲んで味わうだけでなく「意図」を感じるのも味わい深いのですよね。
焙煎度合いをバラけさせているからなのか、かなり幅のある味わいのように感じます。
その分、温度の変化による味の変わり方もより印象的です。
口腔内の上側にクッと来るような強めの味があります。
1杯目にはなかったので鮮烈に感じました。
チェイサーの炭酸水を挟みつつ、よく味わっていただきました。
さらにネルドリップだけでなくエスプレッソもご用意があるということで、〆にいただいて帰りましょう。
エスプレッソ。
最近はいわゆる「サードウェーブ」的な浅煎りのお店なんかでいただくことの多かったエスプレッソですが、こうした自家焙煎の深煎りでいただくのはかなり珍しかったように思います。
綺麗なクレマ。
口当たりは軽めですが、コクがしっかり出て強くなりすぎそうな味を抑え込んでいるようなイメージ。
冷めてくると少し味が尖り始めます。
エスプレッソをブラックで飲むのは無知な日本人だけ、みたいに通の方に言われることがあるのですけど、かたのさんは「そのままでも美味しいと思うときはそれでいいと思う」と肩ひじ張らずに飲むようにおすすめしてくださいました。
そのままで美味しかったです。
全体的に深煎りのようですが、かなり味の幅を楽しめそうだったのでまたお邪魔したいと思います。
そして質問攻めにしてたくさんお勉強させていただければと思います。
ごちそう様でした!