年内にもう一度「コートドール」にお邪魔したくて、12月に滑り込みで予約を入れて伺ってきました。
客数は絞りつつも、淡々と平常通りの営業を続けられているようです。
ゆったりと、優雅な時間と空間を満喫します。
アミューズで海老のトースト。
薄くスライスしたバゲットに桜海老、グリュイエールチーズを乗せてトーストしたもの。
パン、海老、チーズと焼いて香ばしい食材の揃い踏み。
それぞれ食感も特徴的で、シンプルだけどストレートに美味しい1品。
「ほんのひと口ですが」と慎ましく出されるのも、奥ゆかしくて何かいいのですよねえ。
パンはバゲット。
上質すぎない、ソースを拭うのにちょうどいい感じのパンを選ばれている感じ。
季節の野菜のエチュベ コリアンダー風味。
野菜にレモンとヴィネガーで酸味を加えて、オリーブオイル、レーズン、コリアンダーと一緒に蒸し煮にしたシンプルな看板料理。
冬瓜、ポワロー葱、スナップエンドウ、人参、キュウリ、ズッキーニ、大根、カリフラワー、トマト、セロリ、ヤングコーン。
シェフに言わせるとフランスの野菜は油絵、日本の野菜は水墨画。
日本の野菜を使って、フランスの野菜に負けないようなフランス料理としてのインパクトを出すために試行錯誤した結果、「酸味」で強さを表現したのだそうなのですよね。
エチュベの鍋を見ながら日本に帰るんだといつも思っていました。
日本に帰ってからはエチュベの鍋を見ながらフランスを思いました。
シェフの本を読んでいると、この1皿への思い入れがすごく感じられて、僕も初めていただいたときなどは泣きそうになってしまいそうになったほどのお料理なのですよね。
何度食べても最高で。
メインはエゾシカのロースト。
ソースはブールブランのソース。
焼き色がとっても鮮やかです。
焼きの香ばしさと、鹿特有の香りと。
この時期などはエゾシカはいただく機会も多いですけど、こんなにいい味だったかあと改めて思い知らされます。
添えられているのはカボチャのリゾット。
シンプルに塩胡椒な味付けのローストにちょっと方向性を変える甘みが加わります。
口直しのシャーベットはアールグレイ。
季節のフルーツのことが多いですけど、アールグレイは初めてかも。
しっかりギュッと風味が詰まっていて、それでいて清涼感。
もっと食べたくなりますが、口直しとして次のデセールへバトンをしっかりつないでくれます。
熊本産和栗のモンブラン。
以前も1度だけいただいたことがありますが、これはちゃめちゃに美味しいのですよね。
和栗のモンブランらしからぬクリーミーなマロンクリームが印象的。
ミルクのコクが強めで、和栗の朴訥とした甘みもバランスよく主張します。
なめらかなクリームに仕上げてあるので、高さは出さず、平たい形にしてあるようです。
底は焼きメレンゲで、小さめのダイスカットの栗も忍ばせてあります。
食感、味わいともに、モンブランの枠に収まりつつ、食べたことのあるものとはまったく別次元のデセールを作り上げている感じ。
素晴らしいなあ。
食後のドリンクはハーブティーでお願いしました。
レモングラスとルイボス。
想像以上に爽やかな飲み口でした。
お茶菓子はメレンゲのお菓子、フィナンシェ、キウイのパートドフリュイ。
今回はエチュベとモンブランを目当てにやってきたので、どちらも無事にいただけて大満足でした。
こちらのお店に来るときには、事前にシェフの本を読んでから伺うことにしているのですけど、何度来ても感情を揺さぶられて、「もっとも自分も頑張れるはず」とモチベーションを上げていただけるのですよね。
今回も新年に向けて、気持ち新たに頑張ろうと思いながら、元気にごちそう様でした!