久しぶりに三田の「コートドール」さんへ。
何度か満席で予約を入れられなかったりして、なかなか予定が合わなかったのですよね。
段差を上がって奥まったところにある席へ。
いつも通り、メニューの説明を受けて注文を決めます。
アルコールの提供を中止していましたが、水出しのハーブティーがあるということでそちらを。
すっきりした飲み口で、香りからくる甘みを感じます。
ゴクゴク飲んでしまいそうですが、じっくり味わって飲み進めます。
夏の定番アミューズ、赤ピーマンのムース。
先日、「コートドール」さんで修業したシェフのお店「パトゥ」さんで同名のメニューをいただく機会があって、本家も久しぶりに食べたくなっていたのですよね。
まったりとした強めに乳脂の主張するコク、それに負けない力強い赤ピーマンの青々とした香り、抑えた加減ながらもしっかりと味のベースを整えるトマトの酸味。
夏の日差しを連想するような、鮮烈なインパクトを感じる味わいでした。
パンとバターが提供されまして。
季節の野菜のエチュベ コリアンダー風味。
お野菜は大根、人参、冬瓜、ポワロー葱、カリフラワー、スナップエンドウ、トマト、ヤングコーン。
コリアンダーの香りを付けて、レモンを搾ってきゅーーっと酸味を効かせた蒸し煮。
フランスと比べて味が淡い日本の野菜を使って、力強い料理にするためにレモンの酸味のインパクトを思い付いたというこのお料理。
決してフランスの野菜の酸味が強いという意味ではなくて、あくまでもその鮮烈さ、インパクトの強さを表現する意味でレモンをガツンと効かせるという発想なのだそうです。
野菜ごとの個性ある食感は残しつつ、それぞれの出汁がスープに出てまたお野菜に戻ることで相乗効果を感じる味わい。
冬瓜とポワロー葱がいつも特に素晴らしいのですよねえ。
ホロホロ鳥のパン粉焼き マスタードソース。
細かなパン粉を付けて焼いたホロホロ鶏に、マスタードの酸味が印象的なソースです。
カリッカリに焼き上げられた骨付きの鶏肉は、フィンガーボウルが提供されますが、最初はナイフとフォークでそぎ落としつ、ソースをつけつしながらいただきます。
衣に行きわたった油の旨みとコクと、シャープでマイルドなソースが相性ばつぐんです。
別皿で添えられるジャガイモのガレットとインゲン。
そのまま食べるのもいいですけど、ソースを拭うアイテムとしても活躍してくれます。
食感、味、香り、すべての要素から完成度の高さが脳天を直撃するような見事なお料理でした。
このパン粉にかぶりついたときの食感なんてアゴの心地よさが圧巻です。
肉の質感、コクの深い脂の味わいとホロホロ鳥という食材のよさも遺憾なく発揮。
衣にもソースにも負けない鶏肉の味わいがこれまた凄まじかったです。
ここで口直しのソルベ。
今回は見た目で分かりにくかったですが、アールグレイ。
ちょっとクセのある風味が先に来て、舌の上の雑味を拭い去るようにビターな味わいが後口に残ります。
ひと口で鮮烈。
デセールは定番のショコラ・マルキーズ。
照明の効果で貫録のあるオーラをまとったビジュアルですが、生チョコのようなとろける1皿です。
ねっとりしてすっきり消えるショコラに、ガリガリと食感と渋みの残るカカオニブ。
ショコラの味の要素を一身に背負い受けた豊かな味わいが印象的でした。
この日は食事と一緒にハーブティーをいただいていたので、食後は紅茶に。
フィナンシェ、メレンゲ、ファーブルトン。
「コートドール」さんのファーブルトンは初めていただいた気がしますが、ミルキーな甘みとキャラメルのように複雑な風味を伴った甘みが合わさって、ひと口サイズながら員の残る味わいでした。
というわけで、何度伺っても感激できる、身の引き締まる思いのする、明日への希望を感じる時間を過ごすことができました。
大満足でごちそう様でした!