この日は手頃なごちそうランチを…‥と思って、表参道の「L'AS」さんへ。
アミューズからデセールまで7品の充実コースを6600円(オープン当初は同内容で5500円)で提供するための創意工夫が先進的で、ずっと気になっていたお店だったのですよね。
シェフは「コートドール」さん出身ですが、お店で出すお料理はクラシックではなくモダンなもので、料理ではなく料理人としての姿勢、お店の本質を受け継いでいらっしゃるということのようです。
ノンアルコールのドリンクもカクテル要素があって面白そうだったので、苺とミントのドリンクを注文してみました。
苺のジュースが超濃厚で赤ワインみたいな風味。
ゆっくりとけるミントの氷もインパクトのある味わいでした。
ノンアルコールペアリングで注文すると、最後のお肉のメインに合わせて出されているようでした。
ひとくちの自家製モッツァレラチーズ。
スプーンの上にミニサイズのモッツァレラチーズとオリーブオイルをひとかけ。
かなり緩めの食感に仕上げてあって、わらび餅に近いような質感でした。
ブッラータのチーズ部分とクリーム部分を足して2で割ったようなイメージで、一瞬で魅力の爆発するひと口。
モッツァレラは家でも作れると聞いたことがありますが、迂闊に自分でも作りたくなってしまいそうなシンプルで感動の大きい1品でした。
続いてがお店のスペシャリテメニュー。
1人分ずつ個包装されたパックを開けると……
フォアグラのクリスピーサンド。
ハーゲンダッツのクリスピーサンドをイメージしたという1品は、クッキー生地でフォアグラをサンドしたもの。
日によって変わるフレーバーがこの日はマンゴーで、ソースが中に包まれているだけでなく、フォアグラの外側にもコーティングされているようでした。
フォアグラを手にとって食べるという楽しさに加え、パロディ的な面白さがある上に、お店にとってもパックで扱える手軽さやカトラリーが必要ないという効率のよさもあって、考え抜かれた1品なのだろうなと感じました。
白菜のシーザーサラダ パンチェッタとクルトン添え。
大皿に白菜を2枚置いて、ドレッシング、パンチェッタ、クルトン、そしてチーズをたっぷりかけたシーザーサラダです。
言葉で説明すると、そのまんまシーザーサラダの説明みたいになってしまうのですけど、パンチェッタの柔らかさやクルトンの上品な香ばしさ、そして何よりドレッシングをソースとして味わうフランス料理としてのシーザーサラダに仕上がっていました。
燻製牛タンのスライス 酸味の効いたラヴィットソース。
赤と緑のコントラストの映える1皿。
燻製にした牛タンは、香りとソースの酸味でクセがかなりマイルドに感じられるようになっていて、食感はふわふわしていました。
むしろ生胡椒、マスタード、コルニッション、ケッパーなどがゴロゴロ使われたラヴィゴットソースの酸味にかなりインパクトがあって、ソースの酸味を牛タンでマイルドにしていると言っても過言ではないバランス感でした。
酸味の効きようは、「コートドール」さんの野菜のエチュベにも通じるものがあるかも。
濃厚なカニ味噌を使ったズワイガニのリゾット。
メニューには白子のパイ包み焼きと書かれていて少しときめいたのですけど、そちらは終了ということで代わりの蟹のリゾット。
これはこれでときめきます。
説明が正確に聞き取れなかったのですけど、恐らくクリームも使わずにカニ味噌の濃さで仕上げたリゾットという内容だったと思います。
シンプルかつ複雑な味わいで、少量ながらどすんと重さのある1杯でした。
メインは鴨胸肉のロースト 八街野菜のソテー。
添えられているごぼうの香りがすごいです。
ソースは甘めで、ちょっと照り焼きにも近い感じ。
脂身が厚くて身はしっとり、噛み応えがありつつもジューシーな鴨肉でした。
チーズ。
デセール前のチーズ代わりに、ナッツとドライフルーツがぎっしり詰まったパンにチーズクリームを乗せたもの。
こちらはオプションでの追加でした。
この手のパンの中でも突き抜けてフィリングの多い仕上がりになっていました。
チーズも見た目以上に風味の強いもの。
エスプレッソソースを添えたコーヒーティラミス。
エスプレッソの染みた生地、マスカルポーネにココアパウダーを重ねたティラミス、そして試験管のような容器でエスプレッソソースが添えられています。
エスプレッソソースを弾くココアパウダーの図。
少量ですがソースの味が強くて食べ応えのあるティラミスでした。
フィナンシェとマドレーヌ。
焼き菓子を、目の前で淹れていただいたハーブティーと合わせていただきました。
お若いスタッフの方がたくさん働かれていて、フレッシュなエネルギーを感じながらいただけたランチでした。
大満足でごちそう様でした!