この日は日中に時間ができたので、少し遠出して小淵沢にある「雨の日の虹 珈琲 雨待ち」さんへ。
以前は甲府にお店があって、行こう行こうと後回しにしているうちに移転されてしまい、いつか必ず足を延ばしたいと思っていたのですよね。
駅から美しく連なる山々を眺めつつ歩いて、周りにお店など何もないところにポツンと立つ一軒家が目指してきたそれでした。
店頭の照明に記された店名の文字に関する逸話を伺いましたが、表向きには公表されていないかと思われたのでここで明かしてしまうことは避けますが、お店に行かれた方はぜひ聞いてみてください。
かなり広いカウンター席で、かばんから取り出した文庫本のページを繰っていたら、お店の方に「東京の方ですか?」と見抜かれてしまいました。
そんなきっかけから東京のコーヒー屋さんの話で盛り上がりながら、コーヒーを仕立てていただくのを待ちます。
水面(イルガチェフ)。
コーヒーは豆の産地と、濃さを選んで注文できます。
水面は15gの豆で120cc。
自分ではいつも20g100ccで淹れているので、それよりは軽めかなと思って口に含んだのですけど、ハッとするような強い味が出ています。
ビターな入りから、甘い余韻。
温度を落としたコーヒーは、重みのある甘さが心地よいですよねえ。
egg cake。
卵をたっぷり使った素朴な焼き菓子。
カステラ、ホットケーキ、シフォンケーキ辺りに近いですが、どれとも違う独特な質感。
卵の甘み、粉の香り、色みを穏やかにくすませるきび糖のやさしい風味。
食感も味もやさしく、穏やかなもので、舌で感じたコーヒーのエッセンスが染み込んでいく土壌のような、存在自体の落ち着いた調子のお菓子でした。
お箸で食べるというのも素敵。
甘露(マンデリン)。
こちらは22g60cc抽出のデミタス。
レギュラーサイズのカップと同じ形のミニサイズでかわいいです。
せっかくなのでより強い味の出ていそうなものと思ってマンデリンを選びましたが、気持ちのいいほど勢いよくパンチのある苦みが打ち返されてきました。
そして最初の苦みが苦いだけ、スッと線を越えた向こうの甘みが華やかになっている印象。
そして舌が慣れてくると、苦みの芯に図太い旨みがあることに気がつきます。
気軽にまた来ますといえるような立地ではないのですけど、また必ず来ますと言いたくなるお店でした。
東京で出張営業されることもあるようなので、情報をしっかり追ってまたお会いしたい人たちだったなと温かい思い出を胸に、ごちそう様でした!