さて、12月の高はしさんへ。
オープンから2か月、個人的には3度目の訪問。
「いらっしゃいませ」
と店先で客を迎え受ける3代目の表情には余裕のようなものが見て取れるのは、ここまでの経験で自信が確信に変わったとか、雑誌取材を経験したとかそういうこともあるかもしれませんが、何といっても今月は12月。

看板メニューのあんこうが絶好調というのも、関係しているでしょうね。
3代目曰く、今年のあんこうは「イイ」そうで。
さらには「こういうときは大体次の年は良くないから、今年食べておいた方がいい」とも。

白菜漬け。
結構な量があるので、食事を通してちびちびつまんでいただきました。

七味と柚子の香り。
キレのある香りで、コース途中の口直しにピッタリですね。

熊本産 大長茄子さっと煮。
「さっと煮」とはいってもこちらは煮置きのよう。
茄子は確かに、味を浸みこませるためにちょっと置くくらいがいいかもしれませんね。

かなり甘い味付けでちょっと驚き。
もともとやわらかい長茄子にしっかり火が入っているので、かなりやわらかになっていました。

穴子白焼。
築地時代の人気メニューでしたが、当時と違ってカットして1人前ずつを焼くスタイルになっています。

カリッと焼き上げて、香ばしさの立つ味わい。
よりお酒向きになっているかもしれません。
身の旨みの意味ではもう少し水分を残してもいい気がしますが、香ばしさはこちらの方が強く出ますね。

刺身盛り合わせ。
紅白にピンクも入ってグラデーションですね。

対馬産めじ鮪。
イメージを違って酸のない味わいで、脂のコクが前に出ます。

こちらはとろ。
噛むとジュッと脂と化して消えます。
旨み寄り。

京都産あおりいか。
ちょっと表面の緩さもありつつ、基本はさっくり歯応えのある食感。
高はしさんのいかはこれくらいが目指すところのような気がします。

帆立昆布締めの磯辺。
海苔で挟んであるので、手で持って食べられるのがいいですね。

水分が多くて張っている帆立ですが、昆布締めにしたことでふにゃっとしますね。
生の帆立なので甘みはちゃんとありつつ、シャープな香りもくっきり感じます。

宮城産平目。
厚めの切り立てで、高はしさんの平目はわりとピンクが差しますね。

ちょっと香りが弱い気がしたので、すだちがよく合ったように思います。
刺し盛りは品数が多かったわりに、さっぱりめだったので軽くいただけました。

長芋の酢漬け。
ガリのイメージで、口直しに出すメニューとして考えたそう。
長芋って色止めで酢を使ったりしますし、梅肉和えなんかもありますから、案外酸味との組み合わせは食べ馴染みがありましたね。
個性的であり、食べやすくもあり、いい1品でした。

あんこう煮。
現在はあまり強調されていませんが、築地時代からの高はしさんの大看板メニュー。
コースの1品にはなりましたが、ボリュームは減らさなかったとのこと。
部位や量、これがベストの状態、完全体なので減らしようがなかったそうです。

目立つところにあん肝がくるようにしてあるのかと思いきや、見えないところにもゴロゴロあん肝。
豆腐かな?と思ったものも大体あん肝で、後半ほとんど笑ってしまいながらいただきました。

柳肉はジャッキジャキ。

7つの部位ごとにバラエティー豊かな食感を楽しめるのが魅力で"7つ道具"などと呼ばれたりしますが、「身」の部位ひとつを取っても食感はさまざまなので7つ以上に道具はありそうです。

皮。
もっともゼラチン質、コラーゲン質の強い部位。
量が多いこともあって、あんこうというとこの食感がいち早く思い浮かぶ気がします。

えら。
細い繊維質がかなり個性的。
噛むとこすれ合って独特の食感を生みます。

胃袋。
これまた独特なコラーゲン質の食感。
噛み切るとぱつんと弾けます。

皮目はやっぱり多め。

卵巣。
時期が進むとこの部位に細かな粒(卵?)がミッシリ付いて、美味しくなくなるのだそう。
今はただクニクニ美味しいです。

デザートにりんごのコンポートとあまおう。
りんごは、ふじ系ではないかと思いますが、ふじ系は加熱に向かないのでりんご自体が持つ食感や香りはほぼ飛んでしまっていますね。
というわけで恐らく年内最終訪問となりましたが、シーズン中に無事あんこうをいただけてよかったです。
年明けはまたガラッとメニューを変えていかれるそうなので、また楽しみにさせていただきます。
今年もお世話になりました。
軌道に乗ったコース1本のスタイル、さらなるご発展をご期待申し上げます。