お昼はお誘いいただいて、久しぶりに広尾の「ode」さんへ。
時間になったら検温、手指の消毒をして店内に入ります。
フランス料理自体いただくのはちょっと久しぶりなのですけど、いまっぽい独特の雰囲気になりますね。
おしぼりは紙ナプキンに、そして外したマスクを入れておく用の袋が用意されていました。
席も少し間引かれているようです。
カウンター中央の❝島❞にはこの日使われる野菜が並べられています。
バラエティに富んで華やかです。
ウェルカムドリンクはシャンパーニュっぽい東方美人の炭酸割り。
うっすら苦みの感じもわりと似ている気がします。
すっきりした違和感ない飲み口で素直に美味しかったです。
今回は常連さんと一緒だったので、看板メニューのアレは飛ばして、特別メニューのアミューズからスタートします。
和歌山のレモンバジル、梅のアイス。
説明を聞くとソルベにでもしそうなものですが、見た目はムースにも近いような濃厚な質感。.
めっちゃ濃厚。
最初は味が凝縮しすぎてつかみどころのない感じなのですけど、あとから梅とレモンに分かれてスパーッと鋭く香りが広がります。
1品目から凄まじい味表現です。
新生姜と白海老。
ゴロッと大振りの新生姜の上にちょこんと前菜が乗っています。
串に刺さった新生姜のピクルス、上に焦がしバターと生のカラスミを乗せて、最後に白海老で覆ってあります。
ゆらゆらと緩い甘みでねっとりした白海老、爽快な香りでジャキッと強い歯応えの新生姜のコントラスト。
続いては函館のトマト。
食べるのはこちらではなく…、
こちら。
白いお皿の真ん中にトマトのシート配置して、上にエルダーフラワーやハーブを飾り付けています。
スプレーでラベンダーウォーターを吹きかけて完成です。
湯剥きしてペースト状にしたトマトを、ただただ焼いてシートを作るのだそう。
くるくる巻いて食べるように指示されたのですけど、ガレットの中心部くらいの質感に仕上がっていました。
ひと口目にまずトマトの甘みに驚かされて、その後から怒涛のトマトの風味。
1人分にトマト1個分くらいの分量が使われているそうです。
ゴールドラッシュのポタージュ。
ミニョネットは粗めでお皿の柄と一体感を持たせてあって面白いです。
添えて出されるのはアメリカンドッグは、中身がヤングコーンになっています。
ポタージュのコーンと親子関係に当たるこちらをスープにくぐらせるなどして楽しみます。
ポリポリと食感のいいヤングコーンが隠れていました。
器に詰めてあるのはヤングコーンのヒゲ。
これも調理すると美味しいので料理の一部かと思いましたが、今回は飾りのようでした。
コーンポタージュというよりマスタードとかに見えるのですけど、食べると驚くほどに甘いゴールドラッシュらしさが存分に発揮されています。
胡椒がかなり辛く効いていて印象的。
このタイミングでパンが焼き上がります。
カウンターでお披露目。
歓声が上がって「端っこがいい」とオーダーが入るなど。
続いて人数分お皿が並べられまして。
テイクアウトメニューで出していた「VEG OUT SAND」をイメージした料理だという説明があって、調理が始まります。
2人がかりでテンポよく、手際よく盛り付けられていきます。
ベジサンドに入っていた通り、グリル野菜の他、お豆のコロッケみたいなファラフェルも。
こういう目の前で美しいものができあがっていく様を眺めるのはワクワクしますよねえ。
おお!豪華!
と油断しかけたところでしたが、隣のお皿を見て慌てて写真をパチリ。
というのも…、
仕上げにからし菜のサラダをごそっと盛り付けていらっしゃったのですよね。
とても丁寧に野菜を並べていらっしゃったので意表を突かれてちょっとびっくりしました。
とはいってもこのからし菜のサラダも、しっかり葉にいい味があって秀逸なのですよね。
また、もはや隠れていて見えませんが、そら豆のヨーグルトのソースもさわやかで面白かったです。
まだ前菜が続きます。
じゃがいもニョッキと牡蠣、いんげん。
にんにくも効いた緑のソースはパセリ。
極めてふわとろに仕上がったニョッキは、レアな牡蠣と均質な食感に揃えてあって驚かされます。
牡蠣は豆板醤が効いていてかなり辛口。
先ほどのパンが切り分けられて出てきました。
早速パセリのソースでむしゃむしゃ。
目の前でニンニク脂がかけられて完成したこちら。
ジュージューいいながら提供されますが、見た目はほぼ❝たこ焼き❞です。
九条ネギで覆われた下には、素揚げのような小気味よい食感のカサゴ。
凄まじく香ばしいです。
大根おろしのようなソースが皿の底に敷かれてたこ焼き感を助長しますが、これはおろした新玉ねぎのソース。
甘みと酸味が立ったソースに香ばしい風味がついて、中華寄りの味わいでした。
魚料理の次はお肉かな…、と思っていると「次は魚料理です」とのこと。
かさごも前菜だったようです。
鮎のバターソース。
今年はあまり鮎をいただけていませんでしたが、まさかここで食べられるとは!
しかしまたこれは見たことのない料理。
中にくるみを散りばめた鮎のムース、蒸した鮎はギリギリ食感があるとさえ言いたくなるふわふわのやわらかさ。
ソースは白ワインの風味を効かせつつ、想像していなかった甘さです。
甘いソース、淡い塩気。
つかみどころがなくてバランスの悪さも感じるのですけど、物足りなさはまったくない衝撃の1皿でした。
100点満点中199点という感じ。
ようやく肉料理にたどり着きました。
久しぶりのフランス料理だったということもありますが、さすがに相当お腹いっぱいになりました。
金華豚のロースト、梅のソース、実山椒。
豚肉はむっちむち。
肉の味推しの仕上がりで、風味の強い梅のソースがバランスよく馴染みます。
添えてあるのはオクラとモロヘイヤのチヂミ。
上には2枚のモロヘイヤが置かれて、包まれているのはそれぞれモロヘイヤと椎茸のディクセル、モロヘイヤ味噌。
味の要素が多くて、あれこれ組み合わせを楽しみながら満腹も忘れていただきました。
ここからデセール。
何とか食べきれそうだな~と思っていましたが、「ここからだよ」という常連さんの言葉に、お腹をさする手に力が入ります。
塩ブランマンジェとスイカ。
チアシードとフェンネルの花のトッピング。
スイカに塩の組み合わせ。
そしてチアシードはスイカの種のようなイメージなのかもしれません。
スイカを使ったデセールって味の当たり外れの差が大きいイメージがありますけど、こちらはもちろん大当たり。
甘くすっきりしためちゃめちゃいい味してました。
メインのデセールは、ご一緒した方のお誕生日を祝う特別ケーキ。
ココナッツの生地にかなり緩く仕上げたガナッシュ、そして沖縄ピーチパイン。
基本はチョコレートケーキですが、パインとココナッツで南国寄りに仕立ててあります。
ピーチパインはオーブンで水分を抜いてあるそうで、ジューシーで味の凝縮した感じがお見事でした。
ゆるゆるなガナッシュが浸透するよう。
ミニャルディーズのレーズンバター。
バターは軽い味わいのもので、サラッと融けます。
さらにミニャルディーズ、ココナッツのお菓子。
お茶は数種の選択肢がありましたが黒文字のお茶でお願いしました。
最初から最後まで緻密で美しいお料理の数々でした。
お魚やお肉料理も、いい意味で「前菜のような」作り込み方が個人的に大変好みでした。
野菜を中心に品目がとても多いので、満腹感以上に満足感のあるコースでした。
やっぱりフランス料理はいいなあとか、やっぱり「ode」さんの料理は素晴らしいなあとか、呆然とするほどに感動しながらごちそう様でした!