この日はお誘いいただいて外苑前でお寿司をいただきます。
前々から何度かお声かけいただいていたのですけど、何やかやあってようやくの初訪問となったので、何やかやを思い出して感慨深いものがありました。
鮨 龍次郎。
南青山の「すし処 海味(うみ)」で修業された大将のお店。
地図で見て大通り沿いかと思っていたら、ちょっと小道に入ったところだったので少し迷いかけました。
ちょうど2周年を迎える時期で、入口前にはたくさんの祝い花が並んでいました。
威勢のいい大将が、しゃがれているようで張りのある通りのいい声でよくしゃべるしゃべる。
お弟子さんも話に参加されていて、和気藹々とした雰囲気がスタートからすでに感じられます。
白バイ貝。
大きなカットの白バイ貝を口いっぱい頬張って感じる歯応えの小気味良さ。
味付けは甘めなのがちょっと意外。
ガリ。
コロコロとカットされているのが特徴的。
甘さがしっかりめの食べやすい味付けで、ぱくぱく食べてしまいます。
今回は握りのみのコースなので、最初から握りがスタートします。
平貝は知多半島。
コリコリと強い弾力を、薄いスライスや細かい包丁で穏やかに抑えている感じ。
ふわこり。
シャリはけっこう酸味が効いているのがはっきりと感じられました。
本あら、新潟・佐渡。
こちらも弾力強めの白身かと思いきや、濃厚な脂がにじみ出て歯切れのいい食感のあと口どけも感じられました。
すみいかは鹿児島・出水。
強めの歯応え、イカの甘みとシャリの酸味のコントラスト。
すだちがしっかり効いています。
酸味が立って感じられるシャリですけど、こちらのネタの味わいに合うように調整されている感じが伝わってきます。
春子鯛。
表面をちょっと炙っているのかなという香ばしさに近いくらいの旨みを感じましたが、生のままでしょうか。
シンプルな旨みの強いネタですけど、今回はその❝香ばしさ❞も相俟ってとても印象的な1貫でした。
シマアジは対馬。
特徴的な歯応えは緩めで、その分強い脂乗り。
甘みと旨みくらいの味が、強く、強く主張します。
赤身。
ここからまぐろが4貫続きますが、まずは大間の延縄で172kg。
深く、重い旨み。
久しぶりに「これぞ冬のまぐろ」という味を感じた気がします。
中とろ。
こちらも大間延縄172kgの同じ個体。
赤身の方のインパクトがすごかったのですけど、こちらは脂の甘みでマイルドに仕上がったバランスのいい味でした。
大とろ。
個体が変わって、大間の釣り200kg。
きめ細かく入ったサシが、魚ならではの融点の低さであっという間に液体と化して甘みに消えてゆきます。
蛇腹。
こちらも同じ個体で大間釣り200kg。
こちらも大とろですけど、先ほどの1貫に比べると脂の強い味に波があって感じられるのが特徴。
脂の味が身全体としてバランスよく感じられた先ほどの1貫に対して、こちらは純粋に脂を味わうネタという気がいたします。
小肌は佐賀。
強くしっかり締めてありますが、酢締めと同等にインパクト強く印象に残るのは脂乗り。
やはりここもシャリのよさが効いています。
バフンウニ。
緩くて濃い味。
シャリとの対比で甘みが引き立ちます。
ちょっと個人的感覚からいうとシャリの味の強さが結構印象的だったので、どのネタもそこから派生した感想になっているイメージかもしれません。
穴子は済州島。
ほっくりした身質。
鉄火巻き。
ごっそりまぐろを巻き込んで太めなのが特徴的な鉄火巻き
特徴はボリューミーなことそれ自体ではなくて、このサイズだからこそ感じられるまぐろの食感と、シャリや海苔とのその一体感。
手に持った瞬間に、指の先から美味しさを感じるような手触りのよさなのですよね。
お椀をいただいて、追加の握りを決めます。
玉子。
渋みのある色で、角の立った出で立ち。
見た目以上にお出汁がじゅわじゅわ。
テロッとした卵の質感と、出汁の香りを味わう1品。
追加は、さわら。
ねっとりした口どけと、チーズのような旨味。
シャリの味わいの角をとるまろやかに甘い脂。
追加2品目はかっぱ巻き。
独特の細切りのキュウリをギュッと巻き込んだ形状。
鉄火巻きとは逆に、オーソドックスなタイプよりも細いカットで仕込まれたパターンですね。
こちらは食感はソフトに、それでいてキュウリの風味はむしろ過激に炸裂してきます。
王道のようでありながら、個性的なネタも混ぜ込んでくる、最初から最後まで楽しく美味しく気の抜けないコースに大満足でした。
ごちそう様でした!