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美味しいもの食って写真撮って、あとで振り返ってのブログ

食べ歩きの記録です。よく食べ、よく歩きます。

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新富町の「鮨はしもと」でおまかせコース13。

1月25日(木)、週の頭に降った雪もほとんど融けて川になって流れていったこの日、まだ春にはほど遠い冷え込みの中、鮨はしもとさんへ。
 
2014年12月のオープンですから、昨年末で丸3年を過ぎたわけですね。
 
カメラを向けるとジタバタとはためくことの多かった暖簾も、この日は心なしか落ち着いて。
 
開店当初は鮮烈なインパクトのあった新しい白木の香りも、そういえばこの日は感じることがありませんでした。
 
ただカウンターは相も変わらない清潔感。
 
お湯のみは新しいものがちょこちょこ増えますが、平均的には分厚くてゴツゴツしたものが多いですね。
 
霜焼けになりかけた両手を温めるのにちょうどいい型です。
 
きぬかつぎ。
先を落として炒りごまを付けてあります。
 
3本指でつまんで、口に向かって皮から押し出すように食べますが、ひとつは上手くいかず潰してしまいました。
 
これはつまむ技術どうこうという問題ではなく、個体差、あるいは運、すなわち日頃の行いによるところが多いように思いますね、はい。
 
定番の朝〆、青森のヒラメ。
熟成し始めるかどうかくらいの出鼻を探すように味わいます。
 
醤油、わさび、塩。
 
個人的にはどれもほとんど使わないのですけど、わさびだけは"食べ"きります。
美味しい。
 
長万部のほっき。
コリっと強い歯応えは、鶏の軟骨に近いかも。
 
香りは穏やかで、甘みは舌にしっかり広がります。
 
羅臼のマスノスケ。
今回は刺身が3つ続きました。
 
20kgを超える、キングサーモンの名に相応しい大物だったとか。
 
脂は香りが上品であっという間に融けますが、皮目に近い辺りが追いかけるように味を出してきますね。
 
焼き白子。
あら?どこかで柚子が香ったかな?と見回すと、白子から柚子が香るのですよねえ。
 
コクがあるのはもちろんのこと、鱈の出汁とも言うべき香りが強く出ていて、鱈汁に柚子皮を浮かべているとかそんな印象。
そんな印象をギュッと凝縮した感じでした。
 
毛ガニの茶碗蒸し。
ブルーチーズ入りは久しぶりではなかったかな?
 
食べている間はあまり強く感じませんが、食後感は不思議なくらいブルーチーズを食べた感覚が残るのですよ。
 
木さじですくい上げると、毛ガニが"たっぷり"どころか"ぎっしり"詰まっていました。
 
牡蠣味噌漬け、あん肝、干し数の子。
はしもとさんの定番、甲乙付けがたいツマミ3種盛りです。
 
すぎたさん譲りの甘く炊いたあん肝。
 
干し数の子はここでいただいて忘れられない感激を覚えた食材のひとつですが、なかなか他だと出会えませんね。
 
牡蠣味噌漬け。
磯の香りに対してやや味噌が勝つくらいの味のバランスがちょうどよし!
 
焼き物は太刀魚。
 
添えられているのは何だろうと思いましたが、橙なのだとか。
 
ここ数回の訪問で少しずつ塩気が和らいで、火入れも浅くなった気がしました。
 
 
太刀魚の脂の味がストレート。
 
綺麗な橙でしたが、結構熟成が進んでいるそうで甘さが出たものでした。
 
握りスタートの合図にガリ。
 
小肌。
今回はやや酸味を強く感じました。
後から追ってくる脂。
 
今回ははっきりとシャリの水分が少なくて、パラパラ崩れるくらいだったのが気になりました。
 
もちろんシャリの具合は人それぞれ好みがあるとは思いますが、橋本さんが目指すところの仕上がりではなかったのではないかな。
 
春子昆布締め。
厚みがあってもっちり重みのある食感。
 
鯛の旨みから昆布の香りへのグラデーションがスムーズで、見事に味わいのボリュームを膨らませることに成功しています。
 
大間のまぐろ、まずは赤身。
薄く広く切り立てて、畳んで1人前の握りに。
 
口に入れてから味が出始めるまでワンクッション、ツークッションくらいありますが、さすが冬の大間といった味の深み。
 
鰆。
藁の燻製の香りと乳脂系の脂。
チーズみたい。
 
赤貝は中国。
 
甘みは少なめで、磯の香りがしっかりしたものでした。
伺ったところによると、もともと赤貝って北朝鮮で獲れたものなのだとか。
初めて伺いましたねえ。
 
中とろ。
まぐろ自体は、先ほどと同じ個体だそう。
 
見た目ほど脂一辺倒でなく、赤身系の酸味もあってバランスのいい味でした。
 
銚子の鯖。
脂が全体に回ってねっとり、舌触りのとてもいい鯖でした。
 
脂と血合いから鯖の甘み、酢の酸を加えて後はさっぱり。
 
もう1貫まぐろ、はがし。
その名の通り、筋から"剥がし"取るようにしてあるので、筋の全く入らない中トロといったイメージ。
 
個人的には筋の強いところをジャッキジャッキ噛んで脂がジュワジュジュジュと出てくる感じが好きなのですが、こんな上品な口どけを味わってしまったらぐうの音も出ませんでした。
 
車海老。
ひと噛みして、想像以上のレア加減に「1段上に上がった」感に鳥肌が立ちかけましたが、よくよく味わうと味があまり出ていない感じで、単に火入れが浅かったのかもしれません。
 
銚子の金目。
お店のスペシャリテ、皮を炙ってあります。
 
皮目はしっかり火が入っていて、カリカリの食感、鋭さのある香ばしさ。
 
追加注文を意識しつつ、ラストスパートへ。
 
大間のムラサキウニ。
「決して色が悪くなってしまったわけではなく、初めからこんな色なんです」
とのこと。
 
確かに見た目は悪いですが、味はガツンと濃かったですねえ。
何でもかんでもキレイだったらいいというわけではないという話。
 
穴子。
 
上述の通りのシャリでしたので、ややバランスに欠けた感じ。
 
以下は追加分。
 
勝浦のぶり。
漬けにしたものを薄く2枚切りつけて。
 
コースに入っていなかったくらいなので、ベストの状態ではないのかと邪推していましたが、脂の広がり具合たるや、これ凄まじかったです。
 
冬に鰤が美味しい!なんて、そのまんますぎて恥ずかしいくらいですが、この日イチはこちらだったかと。
 
マスノスケ。
せっかくなので握りでもいただくことに。
 
お造りでは脂の味わいが勝って感じられましたが、握りにすると一転シャケっぽい香りが立っていました。
 
ツマミでいただいたからといって油断してはいけませんねえ。
 
玉子。
 
前回からだったか、焼き手がご主人ではなくなったそうで、以前よりレア仕上げになっているように感じます。
レアというのは"火が通っていない"という意味ではなく、火を通してなおトロトロである絶妙な火入れ。
 
正直申し上げてドストライクです。
 
お椀はしじみ。
 
夢の時間が終わってしまうということと、この後極寒の夜道を帰らなければならない現実が頭をよぎって、心なしかペースを落としてちびちびいただきます。
 
というわけで、幸せいっぱいの時間を過ごすことができました。
 
また次回はいつ伺えるか分かりませんが、1シーズン1回はお邪魔できるように頑張りたいと思います。

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