築地を離れてふらふら散歩。
ランチのお店に向かいます。
Aux Gourmands(オーグルマン)。
場所は六本木と東京タワーの間。
プロボクシング・ミドル級元日本チャンピオンという異色の経歴を持つシェフの作る豪快ながら繊細な本格フレンチがいただけるお店です。
なんでも「いい鯖を仕入れた」との情報があるそうで。
ここだけの話、前日突然のお誘いでしたが(笑)。
初めにシェフ直々に登場してこの日のメニューを説明してくださいます。
紙のメニューも説明が詳細かつ魅力的。
参加者4名無言でメニューを熟読、熟考。
超悩みましたが、何とか注文を決定。
この時点で再訪を決めましたよ(笑)。
ランチメニューは、
A,前菜・メインから好きな2皿+デザート+ドリンク(3100円)。
B,前菜・メインから好きな3皿+デザート+ドリンク(4400円)。
他おまかせコース(10800円)もあります。
プリフィクスの方はチョイスによっては追加料金が発生したり、それぞれさらにサービス料がかかるので、基本の値段設定よりはやや高い心構えをしておいた方がいいかもしれません。
でも前菜3皿やメイン3皿というチョイスもOKという、なかなか珍しい構成ですね。
まずはアミューズ。
テーマは「味覚のリセット」。
塩や油を一切使わずに作った冷たいスープ。
「いつも食べているものは一回忘れてね♪」という意味合いでしょうか。
甘み、酸味、苦み、旨み、それぞれがサラッと顔を出して消えていきます。
満足させない、物足りなさ、に狙いがある気がします。
浮かんでいるのはなんと天然鮎。
表面を炙っているだけのようです。
冷たいスープに生の鮎ということで一切れはあまり味を感じませんでしたが、頭に近い部位のもう一切れは鮎の苦み走った味が強く出ていました。
こちらも「いつもの料理」を忘れさせる味わいでした。
添えられたこちらはフリーズドライにした人参の葉だそう。
「味がします。ご自由に振りかけてお召し上がりください。」とのこと。
色々試しましたがよく分からなかったので、これだけスプーンに乗せていただいてみると・・・
喉にぴたぴたぴたっとくっついてせき込みました(苦笑)。
フォカッチャは岩塩、オリーブオイル、さらに蜂蜜をかけてあります。
これ自体味がはっきりしています。
秋刀魚のマリネ。
下に敷かれているのはクスクス、ちょっとパプリカやズッキーニも混ぜて彩りと食感に華を添えます。
丁寧に処理された銀皮にほどよい脂の層。
脂乗りはベストの一歩手前くらいの印象ですが、オリーブオイルがさらりとろりと舌触りを演出。
クスクス、ズッキーニ、パプリカ、オリーブオイルと、フレンチよりはイタリアンに近い味わいかも。
でもフランスよりイタリアより、和!日本!
ねぎ、ミョウガといった薬味の印象、そして何よりクスクスに乗せられたこのスタイルは寿司を彷彿とさせるのですよね。
今年秋刀魚の刺身はハズレ続きで、ようやくこの日の朝寿司大で美味しいのにありつけましたが、ここもまたよかったですねえ。
2皿目も前菜から、鯖のマリネ。
すごい盛り付けです。
野菜はピクルスも含み、食感の強いもの。
後味さっぱりです。
これが噂の鯖。
1.2キロあるおデブちゃんを仕入れたのだそう。
情報から勝手に想像したのは脂ノリノリの肥満体鯖でしたが、さすがに時期も時期なので脂はほどほど。
とはいえ、真冬にはないふくよかでふんわりもっちりした食感の鯖を、あえて統一感のないカットにすることで色んな味わいを楽しむことができました。
全体的にしっかり〆でさっぱりした味わいでしたが、「こういうとこ」の味の濃さが際立っていました。
よく見ると、握った拳のような盛り付けですね。
想像とはちょっと違いましたが、「検討外れ」ではなく「想像も出来なかった」アプローチ。
見えないところからボディに一発、いいのもらいました(笑)。
というわけで僕はAのコースで以上前菜2皿をチョイスしました。
デザート盛り合わせ。
いい意味で、華がない!(笑)。
プリンで言うと卵黄のコク、キャラメルアイスで言うとキャラメルの焦がした香ばしさ、ショコラケーキで言うとほろ苦さ、甘さではない要素が甘さに負けずに主張するちょっと大人な味わい。
甘さ控えめ、でも甘さが弱いわけでなくしっかり甘みは感じます。
ちょうどいいなあ。
唯一万人ウケしそうというか、子供でも喜びそうというか、シンプルに桃の甘ーい風味を纏ったムースグラッセ。
独特の口どけの良さもとても好みでした。
珍しくハーブティーを選んでみました。
「お魚好きの方には、メインに魚がなくて申し訳なかった!」とシェフに謝られましたが、個人的にはフレンチは前菜が好きなのですよねー(苦笑)。
なのでこちらのお店のスタイルはかなり好み。
この日泣く泣く選べなかった料理、他の季節に出てくるという噂の料理。
再訪する理由は十分すぎるほどに整っています。
また前菜ばかり頼んでしまう気がしますが、良い季節にまた伺いたいと思います。