この日も三軒茶屋のサンバレーホテルさんへ。
記帳の始まる9時半に合わせて伺いました。
前週は時間になっても他のお客さんが現れず不安になったくらいでしたが、この日はわらわらとお客さんが現れる人気ぶり。
その日のメニューにもよるのでしょうか。
ただ、お店の方がいらっしゃったのは少し時間が過ぎてからで、「9時半から」というのは緩い設定なのかもしれません。
12時にお店に戻って、案内された席に着席。
記帳時に注文は決まっているので、すぐに提供されるものかと思いきや意外に待ちました。
1度に提供できる量が、2,3人前に限られているように見受けられました。
「ビリヤニと一緒にお召し上がりください」
とライタと玉ねぎ・レモン。
Ernakulam(Kerala)Mutton Biryani(エルナクラム"ケララ"・マトン・ビリヤニ)(ハーフ)(1000円)。
フルサイズが普通に1人前、ハーフサイズはお試しくらいの感覚だと考えるように言われました。
ケララのビリヤニはココナッツが香ることと、ギュッと押し固めるように盛り付けるのが特徴なのだとか。
想像したより香りは控えめなのが却ってオーラを漂わせます。
ハラりハラり、スプーンですくうとこぼれ落ちる軽い仕上がりのバスマティ―ライス。
ごくごく微小なところでギリギリほっくり感じる歯応え…たまらん。
このゴボウの笹がきのようにみえるのはシナモンスティック。
これがゴロゴロ入っていて、1切れ噛み切るのに大分長いことゴリゴリやる必要があるのですよね。
草食動物よろしく、上の歯をすりこぎ、下の歯をすり鉢のようにして、噛み潰す過程でじっくり口の中に甘い香りを引き出します。
淡泊なところがあったかと思えば、こってりめにソースの浸みたところも。
この不均一な仕上がり具合がまたリズム感を生むと言いますあ、旨さになって舌から脳に報告がいきます。
パイナップルが入っているのも楽し。
マトンはしっかり火が入っていますがやわらか。
やわらかいからといって思い切ってかぶりつくと、がっつり骨が付いていたので危なかったです。
最後はライタをかけてサラサラと。
イメージするビリヤニとはまったく違う食べ物でした。
頭の中ではチャーハンとかピラフに近いものとして分類していましたが、どちらかというと中華粥に近いような気がします。
淡い味わい、やさしい食感のお米をサラッといただく合間合間に、主張の強い食材がガツンと。
先日雑誌「月間専門料理」でレシピを考えるうえでの3つの要素として「ヘテロ感」「時間」「ドミナント」というのが挙げられていたのですが、それに当てはめていくと、
ハラハラ軽いお米とゴリゴリのホールスパイスのちぐはぐさが「ヘテロ感」、食べる箇所によって「時間」差で全く違う料理のように見せる表情、全体を「支配(=ドミナント)」する味わいは意外にもスパイスよりもバスマティ―ライスであることによる安定感。
インド人の大ざっぱさまで緻密に再現したような大らかで深みのあるビリヤニでした。
素晴らしかったです。