2月の高はしさんへ。
昨年12月はメインはアンコウを提供し続けていましたが、年が明けてから色々攻め手を変えながらやっていらっしゃるようですね。
今回の目玉は、築地時代からのこの時期定番「越後村上塩引鮭」。
塩鮭の中でも特に塩気の強い品なので苦手な人も多く、この日はメインを選択式にしたプリフィクスコースにしていらっしゃいました。
ご挨拶して着席。
最初にメインを確認されます。
定番のべったら漬けから。
魚河岸横丁のお漬物屋さんのもの。
皮付きと皮なしとあるようですが、この日は皮付き。
バリッと歯応え。
築地時代の定番、穴子やわらか煮。
この日は少し濃いめに煮付けたそうです。
色も濃いめ。
シンプルに醤油っ気が強くなっていますね。
これは確かにすだちを搾りたくなるかも。
大長なすと白魚の炊き合わせ。
以前も出てきた長なすですが、3代目は甘く炊くのですよねえ。
今回は白魚と一緒に炊いて、出汁がしっかり出ています。
前回よりは控えめではありましたが、それでもかなり甘め。
なすは芯の抜けた食感まで火を入れてありました。
この日のお刺身はひらすずき1種。
昆布締めの用意もあったようですが、2000円の追加メニューになっていました。
ひらすずきのイメージを遥かに上回る脂乗り。
切り立ても豪快な厚切りでした。
赤目春煮付。
メインは、塩引鮭をサケて赤めばるにしました。
僕も塩引は塩気が強すぎてあまり惹かれないクチなのですよね。
めばるは築地時代2500円、ひらすずきの刺し盛りも「築地なら2500円で出していたボリューム」とおっしゃっていましたから、合わせて5000円分。
この日の選択肢の中では最も安価なチョイスになってしまいましたが、1番食べたいのはこれだったのですよね。
やはり食べたいものに勝るものはない気がします。
築地時代はあれこれの魚を煮て、煮汁に様々な出汁が入っていたのですが、豊洲に来てからは全ての煮魚がすっきりした煮汁でいただけるようになりました。
やはり3代目の経験に裏打ちされた煮魚は絶品ですねえ。
肩幅のあるたくましいめばるはモノもよさそう。
さすがの1皿でした。
ひらすずきの魚汁。
アラを使わずに仕上げているのだそう。
築地時代よりも塩気がやわらかくなった気がしますねえ。
デザートはとちおとめ。
今回は、これまでにも増して3代目のやりたい方向でやるようになったように感じられました。
正直、既に申し上げた通り、築地時代の価格でいうと"メインとお刺身だけで5000円分"ということで1万円のコースを成り立たせるのにはどうなんだという気持ちや、コースの1品として"お刺身が1種類5切れ"というのはバランス的にいかがなものかという思いはないではないですし、そこに追加昆布締め(2000円)という人参を吊るされるのも「もうひらすずきは5切れ食べていますし、これ1万円のコースですよね?」と言いたくもなるのですが。
何より3代目の「未だかつてないお店」を目指す思いに打たれるところはございますので、今後に期待したい一心です。
現状を例えるなら、大好きな円熟の人気バンドがライブ中心の活動へのシフトを宣言したので行ってみたら、往年のヒットソングを3曲やってあとはMCみたいなことになっているように感じます。
ファンとしては懐かしくもあり、楽しくもあるのですけど。