お昼は築地でお寿司を。
やってきたのは鮨桂太さん。
1987年生まれのお若いご主人が2017年9月にオープンしたお店で、ちょうど1周年を過ぎたところですね。
個人的には2度目の訪問。
今回はご主人の手元がよく見える席でした。
黙々と作業しているようで、実はガッツリ客同士の会話を聞いていらっしゃるご主人が面白かったです。
涼しくなってきた中でも、少し歩いたら汗ばむような気温だったので冷たいお茶をいただきました。
最初に真鯛と、定番のくらげ。
真鯛。
粘りにも近い、引きのある口どけ。
くらげ。
コリコリした歯応えが対称的で、真鯛の"やわらかさ"を引き立てます。
まぐろわさび和え。
ただ端切れを使ったわけではなく、赤身、中とろ、剥がしの3部位。
どれもふわっふわ、エアリーな食感。
脂が増えるごとに甘み、酸味のバランスが変化して楽しめました。
もちろん剥がしは感動的なほどでしたが、赤身も赤身でシャープな味わいが個性的でよかったです。
鰯巻き。
ガリが想像したよりやわらかくて、歯応えはゆるめ。
意外な食感でした。
ガリがパーンと弾けず、じんわりと広がるので全体に穏やかな印象。
かわはぎ肝和え。
肝がすごい脂、身はコリッコリ。
凄まじく後を引く脂の味わい、中華にありそうな強い旨みです。
芽ねぎは味わいとしても、色味でも存在感。
目の前に出されても何か分からなかったので、何かお聞きすると…、
たら白子かまぼこ。
と、教えてもらってもよく分からないという…。
とはいっても、食べたら表面の焼き目の香ばしさの効果で、はっきりとかまぼこを感じました。
あん肝とも和え、ニシン漬け。
あん肝で和えた、様々な部位のあんこうの身。
コラーゲン質のぶりんぶりんのところなんかもあって、楽しいですねえ。
ニシン漬け。
ご主人の出身地・北海道の郷土料理。
戻した身欠きニシンの、透明感のある身、密な質感。
さて、ガリが出て握りが始まります。
まぐろ漬け。
さわやかな香りのする、軽めの味わい。
中とろ。
同じ個体で、こちらも酸味あり。
小肌。
〆は結構強めに感じられました。
皮目の表面すぐ裏にふるふるの脂の層。
まぐろ3種目は、大とろの蛇腹。
口の中でバラけて、サラッと融ける脂、濃厚です。
たこ柔らか煮。
ふるふるの、やわいゼラチン質の層は薄めですが、締まった身にギュギュギュと旨みが詰まっています。
タコ。
同じタコを握りでも。
押しつぶして水分を抜いて使われています。
ザラリとした舌触りと、塩気と旨み。
生いくら。
塩味が淡いので、いくらの脂の味で食べる1貫。
車海老。
愛知の海老で、40gほどあるという大物。
かなりレアに感じましたが、味も出ていましたし、ちゅるんと口に残る食感がとてもよかったです。
温かいお茶にシフト。
秋刀魚。
エシャレットを握り込み、燻製をかけ、炙るという仕事内容。
胡麻油のような味わいに感じるのですけど、燻製と炙りの辺りの効果なのかな。
スミイカ。
スーッと歯が入って、ぱつっと歯切れ。
若さを感じるイカでした。
さわら。
お酒が香って、甘みのしっかり主張した煮切り。
鯖。
鯖というだけでもテンションが上がりますが、「青森」と聞くとなおのこと。
しっかり締めたところから、強い脂の、強いコク。
はまぐり。
味のバランスは甘さ寄り。
ふっくらやわらかで口当たりのよい食感。
あおやぎ。
かなり大きなあおやぎで、食感も味も強くないのですけど、その分握りにするのに合っているように感じました。
この日1番印象に残ったかも。
「まだいけますか?」と探りを入れられながら、コース終盤へ。
鰹。
戻り鰹らしい脂乗りで、独特の酸味もうっすら残しつつしっとり口どけ。
鰯。
今年はいい鰯が長く続いている印象がありますね、この日は青森。
こちらも強い脂が続きます。
うに。
釧路の赤うに。
きれいな色味、形と、分かりやすい甘み。
ふるふると舌に触れるうにの食感がいいですねえ。
小振りのお椀でお味噌汁。
海苔の香り。
穴子。
結構身の繊維質を感じた気がします。
玉子。
しゅわしゅわとけます。
一見ほんわかして見えるご主人は、可愛らしい奥さんとの掛け合いなど見ていて心が温かくさせられるのですけど、
「僕明細あんまり見ないんで仕入れの値段分からないんです」
などと語られるお言葉は、一見"ほんわか"して見えて、大物の風格を感じると言いますか。
お寿司とか日本料理は特に原価が分かりにくくて「高い」と言われてしまいがちなので、オープン間もないとついそういうアピールの仕方をしたくなってしまったりしそうなものですが、微塵も意に介さず構えていらっしゃるところに、お寿司屋さんの大将向きな方だなあと感じ入りました。
どの目線で申し上げているのかよく分からない感想になってしまいましたが、また次回を楽しみにしながらごちそう様でした!