米花を早めに出てお隣の「高はし」待ちの土曜のいつものみなさんにご挨拶。
頃合いを見て7時オープンの豊ちゃんへ向かいます。
大正時代の創業だという築地屈指の老舗にして、和の鉄人こと道場六三郎さんが「生涯一の洋食」と絶賛した名店。
その豊ちゃんが2014年8月25日を店を閉めるという話を耳にしたのは2週間前。
1週間前は築地のお盆休みだったので、僕のいただくチャンスはここに限られていたのですよね。
この日から夏休みで関西旅行を予定していましたが、出発前にどうしても築地に寄りたかったのは豊ちゃんのカツ丼を食べるため。
お店に着くと7時前でしたが既にお客さんは着席して、残り2席。
僕が滑り込んだ直後に最後の1席も埋まりました。
鯵フライ(1枚)(450円)。
「築地来たら鯵フライを食え!」とも言われることもある「築地のアジフライ」の中でも1,2を争うような人気だった一品。
尾の先、パン粉ひとつひとつの先まで触れたら突き刺さりそうな鋭い揚げあがり。
見た目通りザクッと気持ちいい食感の中、鯵はふんわりしてしっとり。
「ふんわりしている」のは噂で聞いていましたが、驚いたのは「しっとり」の方。
揚げ物の中にあって脂乗りを感じるほどです。
やっぱり築地は違うなあ、というより、築地とはいえここまでの鯵とは!という感動。
下味もしっかり塩がしてありそうで、ソースも何も付けずに鯵の味でイケます。
この鯵フライともお別れです。
かつ丼(ご飯少な目)(1020円)。
これです。
ラードとヘット、煮汁が浸み合って、得も言われぬ身体中の味センサーが反応する「美味さ」に溢れています。
歯切れのいい身、ぷりゅっとした脂身からは豚の甘みを「象徴する」ような脂が弾け出ます。
この玉子の縁を口に入れた途端しみじみ、もう食べられないんだなという気持ちに。
とんかつ、玉子、玉ねぎ、三つ葉、煮汁と、そしてご飯。
すごく美味しかったです。