残っていた3つめの話を。
とにかくがんばれ、日本のチーズ
いきなり表題と矛盾しますが、
美味しいチーズを食べたければヨーロッパのチーズを買うべきです。
味はもちろん、30%ともいわれる莫大な関税が乗っかってもなお国産チーズより輸入チーズの方が価格も安いです。
でも僕は国産チーズも買いますよー、という話を一席お付き合いください。
チーズの原料となる生乳は、国内では基本的に
生産者⇒農協⇒メーカー⇒卸売・小売・消費者
と流通しています。
ここで「農協ってなくてもよくない?」と思ったあなたは鋭い!
農協って一体何をしているのでしょ。
結論から言うと、
生産者の生産した生乳を集めて全部混ぜて殺菌等処理をしてメーカーに出す、
ということをしているのですね。
生産者が自身で販路をみつけて生乳を売り切るというのはやはり厳しい、
特に小規模な農家は立ち行かなくなってしまうのが目に見えています。
そこで農協が全部買い取ってメーカーに卸す役割を代行しているのです。
生産者が減少の一途をたどる酪農業界としては、弱小農家が厳しい競争にさらされないよう保護する必要があるのですね。
一方、技術と意欲を持った生産者はどう考えるか。
「美味しくても美味しくなくても全部同じ値段で買い取られて混ぜて出荷されるなんてとんでもない!こだわって作った美味しい生乳をメーカーに適正な価格で直接卸したい!」
全量を自分の力だけで捌くのは難しくても、経営が回る程度に農協に売って余力でこだわりの生乳を出荷するくらいはできそうなものです。
しかしこれは農協が禁止しています。
全量出荷性、
つまり農協に売りたいなら全部農協に売りなさい、そうでないなら1滴たりとも買いませんというわけ。
もう八方ふさがり、生産者はみんな泣き寝入りです。
美味しくても美味しくなくても関係ない、美味しくなくたって全部買い取ってもらえる
→とにかくたくさん生産すればいいんだ・・・
Wikpedia先生によると「乳質は比較的薄め」ですが「全牛種中乳量が最も多」いという
ホルスタイン種が日本の乳牛の98%を占めているというのも、
この農協の背景を知っていると当然の帰結だということが分かります。
政策的に美味しい生乳が出来ない国なんですね、日本は。
ところがどっこい、そんな環境の中でも美味しいチーズを作るんだという骨のある生産者さんはいるわけです!
農協とは関わらずに全部自分で販路を築いて生乳を出荷してメーカーに作ってもらうか、
もしくは生乳をメーカーに出すのではなく全て自らの設備で加工して自社生産でチーズを作るか。(多分後者が主なのかな?)
政策的に締め出された分野ですからその道は険しく、苦労に苦労を重ねています。
そういう事情を思うと、価格が高くなるのも、質がイマイチなのも、リアルに生々しい現状を感じさせるのです。
「高いから」「イマイチだから」と買われなくなったら、いくら骨のある生産者とはいえ続かないと思うのですよね。
ここからはただの願望ですが・・・
生産者の力になって、日本のチーズをみんなで成長産業にして、美味しい国産チーズが気軽に買えるようになったら素敵だと思いませんか?
ヨーロッパの本物のチーズとだって渡り合えるようなチーズが出来れば、
輸入チーズを排除するための高い関税必要もなくなって、
本場のチーズを適正な値段で買えるようになるかもしれません。
そうなると今度は負けまいと日本のチーズがさらに成長する・・・
そんな夢を見つつ、投資だと思って僕は国産チーズを購入するようにしています。
今食べておけば、10年後、20年後に美味しい国産チーズを食べたときの感動もひとしおかもしれませんしね!
というわけで、とにかくがんばれ!日本のチーズ!
ざっと思いつくままに書いたので誤字脱字、さらには情報として間違っている部分もあるかもしれません。
何かお気付きのところがございましたら、コメントでも何でもご指摘ください。