お昼は東京タワーのおひざ元の新店へ。
"某シェフ"におすすめされてオープンを心待ちにしていたのです。
多分同じソースだと思いますが、こちらの方も訪問されていますね。
PST(ピッツァ・スタジオ・タマキ)。
うっかりすると「ピッツァ・パスタ」だと思ってしまいそうですが、ご主人の玉城さんの名前を冠した店名のようです。
ランチ営業は土日祝日のみということもあって、あっという間に満席に。
お店の方曰く、「予約がおすすめ」だそうです。
調理台と薪窯を目の前にしたカウンター席。
仕込み工程の関係かもしれませんが、タイムやローズマリーに火を入れたような香りが漂っていました。
ナティア(ガスなしのミネラルウォーター)(590円)。
ドリンク注文は必須だそうです。
イタリアの水でしたが、口当たりがやわらかくて、とても飲みやすい軟水だったと思います。
前菜5種盛り合わせ(1000円)。
ちまちましたのを想像していましたが、太っ腹な1皿が出て来ました。
ヨーグルトのディップと久松農園の野菜たち。
実は盛り合わせを頼むか、野菜ディップを頼むかで悩んでいたので、盛り合わせにしておいてよかったです。
「有機栽培なので、生のまま食べられます」とのこと。
酸味とか苦味とか、しっかりアクのある味わい。
これを食べて以来、自炊用に買う野菜の嗜好もちょっと変わったくらい印象に残りました。
とても美味しかったです。
タコとセロリのマリネ。
塩味と酸味をしっかりと効かせてあって、タコ・セロリもちゃんと香ります。
かぼちゃのマリネ。
バルサミコとかぼちゃの、別ベクトルの甘みがマッチ。
国産肉のミートボール トマト煮込み。
ほわっとやわらかなミートボールのトマトソース煮込みです。
パルメザンチーズの香りがビビッドな存在感。
ブロッコリーのガーリック風味。
コリッと歯応えあるブロッコリーにガーリックが雄々しく香ります。
マリナーラ(1550円)。
"某シェフ"がおすすめしてくださった際、メニュー名を挙げられていたので今回はマリナーラに。
要約すると、
「生地が世界一美味しい。生地が美味しいからシンプルなマリナーラで抜群に美味しい。トマトソースも抜群に美味しい。マリナーラ美味しい。」
といったお話だったのですよ。
トマトソース、ニンニク、オレガノ、バジル。
パッと見の印象で言うと、生地は薄め、トマトソースの色味は淡め、オリーブオイルは多め。
それからコルニチョーネの焦げの強さが目に付きます。
トマトソースの引き方はメリハリがあって、オリーブオイルを透かして生地があちこちに見えています。
トマトソース自体は、甘みと旨みどちらも感じられるバランスの良い味。
ニンニクは生っぽい辛みを感じるところもあれば、火入れが深くて苦みが出ているところもありました。
生地はむぎゅむぎゅ詰まって、食い込むことなくはじき返されるような強い弾力。
見た目以上にコルニチョーネの焦げが香って、焼き餅を思い出すほどです。
それから強い塩気がストレートに感じられるのですけど、これは多分生地でもソースでもなく、焼き上げる際に振ったもの。
塩気は強いのですが、美味しい塩でした。
甘みの他に苦みや旨みも感じるような、イメージ的には"にがり"に近い感じの味わい。
食べていると焦げがヒラリハラリと舞い落ちます。
これはちょっと初めての経験でした。
僕も"本場では"とか"真の"とかいうことは分かっていませんが、一般に王道と言われているところからすると異端に近い部分も多いのではないかと思います。
生地の焦げが香るところや、ニンニクの苦みが出ているところも、機械的に採点するなら減点対象になりそうなところ。
でもこちらのお店では"あえて"そのように焼いているよう。
苦みだって味のバランスを調え、アクセントになる1要素ですもんね。
価格的には高級の部類に入ると思いますが、使っている素材がイチイチ最上のものに感じられました。
野菜、小麦粉、塩の良さが特に印象に残っています。
港区のこの立地ならあっという間に常連さんが付きそうですね。
僕みたいな庶民派どういう感覚で伺おうかまだ気持ちが定まっていませんが、また他のピッツァもぜひいただいてみたいと思います。
圧倒されてしまいますが、食べ終わるころには数えきれない要所要所がクセになって、
コルニチョーネの焦げのように脳裏に焼き付いている、そんな強い印象を残してくれるピッツァでした。