この日の夜は人に連れられるがままに、幡ヶ谷にあるイタリアンとインド料理をかけ合わせた料理をいただけるというお店へ。
店名は「パヴォーネ・インディアーノ」。
なかなか覚えにくい名前だなあと思っていたのですけど、帰る頃にはその名をしっかりと記憶に刻み付けることになりました。
前菜盛り合わせ。
1皿目にして、神髄ここにありといったお料理がこれでもかと盛り込まれています。
一見するとイタリア料理がビストロのそれですが、一品一品丁寧に調理してそれぞれスパイスで香りづけられています。
香りはつけつつも、あくまでも主役は野菜。
火入れで香ばしさを出しつつ、食材の甘みをぐっと引き出しているのが印象的です。
いきなりワンオペ店とは到底思えない手数の多さに圧倒されました。
真鯛のカルパッチョ。
金柑のスライスを添えて、クミンを散らしてあります。
レモンを搾るだけでなく金柑を添えることで、甘みの要素がより強まったカルパッチョになっています。
甘さを強めたところにクンと香らせるスパイス。
八朔を剥くときの香りとクミンの香りが似ているなと思うことがあるのですけど、そういったマッチングの意味でもこれはまったくもって違和感ない1皿でした。
蛸とアボカドのアチャール。
ぶつ切りの蛸に、やわらかめのアボカドがソースのように絡んだ1品。
シンプルにいえば「蛸とアボカドのマリネ」ですが、スパイスを効かせてアチャールとして仕上げられています。
イタリア料理とインド料理をつなげる料理というよりは、両者がもともと「意外に重なっていた」ということに気が付かせてくれるようなお料理でした。
パテ(ポーク・ビンダルー)。
ポークは岩中豚、バルサミコ酢、ニンニク、青唐辛子、スパイス、パクチーを練り込んだポークビンダルー風のパテカン。
もともとお酒やスパイスが入ったりはするお料理なので、奇抜すぎることもなく、酸味と尖った香りが効果的に余韻を残す1品でした。
お肉の脂もいい味。
スパイシーオニオングラタンスープ。
見た目は王道のオニオングラタンスープですが、ほのかにスパイスの甘い香りが漂ってきます。
シナモンとかアニスが効いていたように思います。
とろけた玉ねぎの甘みと馴染みいい、妖艶な香り。
黒胡椒のカレー。
深みのある黒いカレーで、パンチのある黒胡椒の香りとドロリと濃厚な質感。
見た目と味の印象が一致していることが、ひと口でバシッと伝わってきます。
お肉は大きなカットでゴロゴロ。
カレーは頻繁に変わるそうなので、別メニューも気になってきます。
カレーに合わせるのはライスとパンと選べましたが、パンで。
パンは自家製のフォカッチャでした。
カリッとしてもっちりふかふか。
手打ちタリアテッレ(黒にんにく、パクチー)。
「ほぼ焼きそば」と紹介されて出てきました。
黒にんにくの旨み、コラトゥーラの独特の風味。
アンチョビとかオイスターソースのような、ほんのりクセのある香りなのですけど、とにかく食欲がそそられるのですよね。
去年シンガポールでいただいた「炒粿條」を思い出しました。
というわけでストライクど真ん中で好みのお店でした。
リピートしたいお料理ばかりでしたし、他のメニューも気になるのでぜひまた伺いたいなと思いながら、ごちそう様でした!