ランチはミシュランで一つ星を獲得しているこちらのお店へ。
ぎんざ一二岐。
予約なしでの訪問でしたが、平日ということもあって11;30の開店アタックで入店できました。
白木のカウンターだとかで非常に上品。
広々としているのでカウンター席のわりには余裕を持って食事に集中できます。
カウンター向こうから遠いのでお料理はかなり出しにくそうでしたけどw
まず一品目は揚げごま豆腐。
「水無月豆腐」というメニューでした。
無病息災を意味する小豆を混ぜ込んだごま豆腐。
三角形は水無月を意味していて、残り半年の無病息災を願う一品なのだそうです。
だし汁はほのかに酸い感じもする出汁中心の淡い味わい。
揚げたてでカリッとした表面は片栗粉だと思われますが、もちっとした食感も。
出汁が浸みてさらに美味しく。
薄味の出汁も段々と油のコクでまろやかな味わいに変化していきます。
さらに表面を割るとトロッと流れ出るごま豆腐はとても濃厚な風味。
唯一文句を言うとすれば箸で食べるべきか匙で食べるべきか分からなかったことですw
器もちょっと食べづらかったですね。
続いて小鉢2品。
サトイモ、かぼちゃ、茄子の炊き合わせと切干大根。
炊き合わせはほんのり甘さのある醤油味でしたが、これも出汁中心の薄味。
切干大根はゴボウ、人参、鶏肉が入っていて、これは他に比べるとしっかりとした味で、鶏肉が入っている分コクも十分です。
漬物とおかか。
塩はお次のメイン用です。
一品目をのんびり食べる僕を見て焦ったのか、このタイミングで「予約の関係で12時半までのご案内となります。」と言われましたw
「わら焼き入りまーす。」の声とともに目の前でわら焼きのパフォーマンス(?)。
店内に煙がもくもくと充満します。
かつをのわら焼き。
「入りまーす。」から2,3分で提供されました。
カットの仕方に変化を付けてあるので、それぞれの食感が楽しめて面白いです。
添えられたにんにくのスライス、わさびを乗せ、お好みで塩を付けていただきます。
目の前でスライスされたにんにく、卸されたわさびは普段食べるものよりマイルドで強い風味を味わえるものでした。
にんにくを乗せることで旨みが増し、わさびはかつをの後味の酸味をすっきりと消し、塩はかつをの脂の甘さを引き出す感じ。
それぞれがしっかりと役割をなしているような、よく考えられた組み合わせでしたよ。
この手の炭焼のカツオの刺身はよくありますが、さすが炙りたてのこちらはカリッとして脂がにじみ出ていて絶品のかつをでした。
わら焼きの香りは、逐一店内に煙の香りが充満するためか特別強くは感じられませんでしたけどw
赤出汁。
小さく深さのある器です。
この器がまた意味がありそうで、最初はネギくらいしか見えていませんが少し飲むと細かくさいの目切りにされた大量の豆腐が入っています。
おお、豆腐のお味噌汁だったのか、と感心しているとそこにはさらになめこが。
少量でこれだけのサプライズを赤出汁に込めているところがさすがミシュラン星獲得店だと思います。
旬の焼き魚、この日は鰆の幽庵焼きでした。
こちらも薄味で、漬け焼きのため脂が抜けてギュッと凝縮した旨みを味わう感じの焼き魚。
大根卸しは粗めの鬼卸しで、最初からたっぷりの醤油が。
薄味の魚に合わせるように合わせている感じでしょうか。
鰆らしいしっとりした身質は味わえませんでしたが、香りよく独特の焼き魚な感じでした。
昆布の山椒煮はインパクトは控えめで少量なのであまり印象に残らずでした。
「ごはんは足りましたか?お代わりも自由ですのでお申し付けください。」とのことでしたが、佐賀県産夢しずくを土鍋で炊いたというご飯はとっても美味しかったです。
粘度の強めなもちもちしたご飯は噛むほど甘みの出るもの。
ご飯と焼き魚の相性を改めて感じさせられるような組み合わせでした。
デザートは酒粕のアイス。
水で口をリセットしながら何度もいただきましたが、何度食べても同じ感動を味わえます。
上にかけられた黒蜜もとても合っていたと思います。
女将さんもいらっしゃいましたが、基本的にカウンター席はお料理をされる方々が直接接客してくださいました。
近すぎず遠からず、丁寧なサービスでとても印象もよかったです。
メニューが少ないので再訪はしばらくはちょっとないかと思われるのが我ながら残念w
でも小鉢はどれも出汁がしっかり効いた薄味で、こういう和食を毎日食べたいなーと思えるお料理でした。
自分でも必ず出汁は引くようにしていますが、ここまでしっかりと土台となれる出汁はなかなかできてないので、ちょっと頑張ろうと思いました。